チキン彼氏を救出せよ!!


「…これで、いいのでしょうか?」


渡部くんが同情の目であれを見る。


「いーのいーの。
お前ちょっといい奴になりすぎたんだよ渡部。」


最後の一言は余計だろう蒔田。


「…いいんだよ、Mだから…。」


と言いながらもちょっとだけ同情するあたしもいる。

「そうですねぇ…。」


渡部くんは目をそらし歩き出す。

あたしと蒔田も、その後について行く。

そして…わたあめは口をタオルで塞がれてもなお楽しそうにあたし達の後ろについて来た。


なんかここまでくると気持ち悪いぐらいMだよ、わたあめ…。


「南野さん、宝は何処にあると思います?」


気を紛らわすように渡部くんはそう言ってキョロキョロ辺りを見回す。


「さぁ…。
あの先生アホだから図書室の本棚の奥とかに置いてそう。」


「たしかに。」


蒔田はそう言って図書室に向かう。


「蒔田那央、なんだかんだちゃんと真面目にやるんですね。流石だ。」

そう言って渡部くんは失笑した。

そういえば…2人はどういう関係なんだ?

「あのさ、さっきから素朴な疑問があるんだけど、聞いてもいい?」


「え?あ、はい、なんですか?」


「蒔田と渡部くんは知り合いなの?」


さっきの話をぶり返してごめん。
でも気になるのよあたし。
野次馬魂があるからさ。



「あ…
蒔田那央は、今でこそあんなんですが、中学のときは他校の風紀委員長でね。
よく『地域の空気が乱れる!』
と我々は叱られたものですよ。」


そう言ってハハハと笑う渡部くん。


………そこ、笑うところじゃないぞ渡部くん。





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