チキン彼氏を救出せよ!!
「お前、俺のことハメたな!!」
俺は拳を突き上げる。
「やだー、
ヒロってば、こわーい!!」
くねくねしながら碧は楽しそうに笑う。
コイツ……
本当にムカつく…
俺は本当に殴ってやろうかと思い始めた。
「…まぁ、落ち着けば?」
すんでのところで俺の腕を掴んで言う女。
あ、こいつ…。
「さっきの女、じゃん。」
俺は碧をチラッと見て言った。
碧は少し顔を赤らめ、急に大人しくなった。
わっかりやす…
「…苛立つのは分かるけど、君、暴力はいけないよ。」
委員長みたいな口調で女は俺に語りかける。
それなのに、俺の腕を押さえてるって、こいつ、かなりの怪力だな。
「あの、あんたさ…」
「あんたじゃなくて、坂城。
坂城麻耶。」
ギロッと睨んで言う女…じゃない、坂城。
「えー……坂城は、何者ですか?」
すると、坂城は豪快に笑い出した。
なんかもう、男よりも勇ましい笑い方。
って失礼か。
「ただのクラスメイトだよぉ。
面白いこと言うね、渡部は。」
急に可愛らしいしゃべり方でそう言って笑う坂城。
なんだ、普通に可愛いじゃん。