チキン彼氏を救出せよ!!
「…まぁ、お前はそのままでいてくれ。」
俺がボソッと呟くと、神田はますます訳が分からず首を傾げる。
「お前は出来なくても、俺は出来るから。
女子止めて来る。」
神田のようにアホみたいに爽やかには笑えないが、少し笑って俺は教室に戻った。
「え…おい、渡部!」
神田の焦った声を背中に受けながらも、俺は女子に声を掛ける。
「なぁ。
陰口はさぁ、もっと小さい声で言えよなー。」
俺の声に驚いたらしく女子達はビクッとして俺のほうを見た。
「な…なんのこと?
渡部くん。」
リーダー的女子がうわずった声で俺に言う。
「神田に通用しても、俺には通用しないんだな。
そーゆーの。」
俺が一段低い声で言うと、その女子はチッと小さく舌打ちした。
「早速本性現したな。」
俺がニヤッと笑うとその女子は思いっきり睨んできた。
「あんたなんかに使ってたら疲れるだけかなって思ってね。」
「言うねぇ。」
言い合う俺とその女子を見ていた他の女子は少し焦ったような顔をしている。
なんだ。
みんな、こいつに付き合ってるだけなんじゃん。