チキン彼氏を救出せよ!!


「…チケットは奪い返したので…。」


しばらく呆然としていた案内人が我にかえってそう言った。


「あ、あぁ…
ありがとうございます。」


あたしも呆然としていたので我にかえって礼を言った。


チケットでこんな壮大なことになるとは…。


あたしはとぼとぼと白石くんのところまで戻る。


「ハイ。」


「あ…ありがとう。」


白石くんは具合が良くなったらしく、立ってあたしに礼を言った。


「じゃ、行こっか。」


「ウン。」


初デートなのに、この盛り下がりっぷり…。


なんとなく気まずいまま園内に入る。

その時だった。

「あ、
白石くん。」


その声を聞いて前を見ると、

そこには知らない女の子。


……なんか、髪とかふわふわしてて、可愛いーんですけど。


とかちょっと嫉妬みたいなことをしてみる。


「あ……広瀬。」


白石くんは少しだけ顔をほころばせる。


…なんで?
…あたしといてもこんな顔しないのに。
なんか…胸が痛い。



< 89 / 131 >

この作品をシェア

pagetop