チキン彼氏を救出せよ!!
「…なにしてんねん。」
あたしは色々な意味で疲れきっていたから、これが精一杯のツッコミだった。
「だって…アイツ俺の昔の仲間と付き合ってたんだぜ?
男なのに。
お前があぶねーかもしれねーから、俺同伴のデートにしたのによ。」
顔をしかめて、大袈裟にあたしが殴った場所を擦る。
「ごめん、殴って。」
「素直で宜しい。」
そう言ってポンとまた頭を軽く叩く。
やっぱりまた、優しい。
……なんでだろ?
渡部くんらしくないよ…
なんとなく照れてしまったあたしは別の話題を探す。
「付き合ってたって…由宇くん?
…………てか、昔の仲間って……??」
そういえば。
いつぞやに渡部くんの過去の話を聞いたことあったけど……。
渡部くんは、あぁ、と納得したように頷いた。
「まだ俺、全部話してなかったよな。
中学ん時の話。
ちょうどいいから、教えてやるよ、白石のこと。」
そう言ってまた渡部くんは過去を語る。