コスモスの記憶
恋をした。
叶いそうで叶わない恋。
もしも、今とは違う場所で出会ってたら、この恋に落ちてこんなにも辛くて悲しい想いをする事はなかったのかな。
秋に桜と書いて“コスモス”。その名前が綺麗と言ってくれる貴方はもうここにはいない―――――
ここでわたし達が話していた事を知るのは畑に咲く花達だけ。
ここに咲く花はとても綺麗で色鮮やかで。
でも、今は赤い空に照らされて色鮮やかな花は全て赤みを帯びてその姿を変える。
わたしの恋は綺麗な赤。
花も赤みを帯びてささやく。
倒れる人から見えるのも濃ゆい赤。
どれもこれもが赤なのに、同じ色の赤なんてない。
涙で歪んで見えるこの赤の色達は、凄く綺麗。
でも、それは酷く残酷な色にも見える。
そう、燃え盛る赤は、綺麗で残酷な色を放ち続けていた。