コスモスの記憶
「しかしまぁ、お前にも早くいい男が見つかればいいのにな。」
「むぅ~っ。あたしだけじゃないでしょ?啓斗だってそんな人いないじゃん。」
「お前なぁ~。あいつはまだ中坊だろ?あいつと比べてどうすんだよ。」
薫の発言に少し膨れたアオ。啓斗(けいと)は薫とアオの弟で今は中学2年生。
薫と顔が似て、とても中学生には見えない大人っぽい顔つきで、態度こそツンツンした感じではあるものの、そこがいいという女の子によく騒がれている。
「まぁでもお前よりも早くいい女が見つかるかもな。あいつは俺に似ていい男だし。」
「薫ちゃん2世だかんね、いろんな意味で。啓斗まで暴走族に入るとは思ってもなかったよ。」
「それは、俺のせいじゃないだろ?
まっでもあいつの場合、シスコンが直らない限りはそんな女出てこないかもしんないかな。」
「何か言った?」
「いや、なんでもね。」
最後の言葉は小さかったのでアオは聞き取ることができなかった。
「アオーーーっ!!いい加減早く降りてきなさい!!ご飯冷めちゃうし、遅刻するわよ!!」
1階から先ほどよりも大きくて怒気を含んだ母の叫び声が聞こえた。