コスモスの記憶
(そういえば………)
アオは思い立ったようにリビングの扉の取っ手の前で立ち止まった。
(いつも夢で見るあのお姫様。”秋桜”って名前だったよね?確か………。
コスモスと同じ字だって。)
それから取っ手を掴んで扉を開け、朝ごはんのいい匂いのする部屋に入っていった。
(あたしもあのお姫様みたいに、大事に思える人が出たらいいのになぁ~っ。
だって、私の名前は、明野秋桜(あけのあお)。
”秋”に”桜”と書いて、あお。
コスモスと同じ名前。
あのお姫様とは、名前の読み方は違うけれど、あんな風な恋ができたらいいのにな……………。)
今日の夢からそんな思いを馳せて、アオは朝食の席についた。