コスモスの記憶

「へぇ~、ちゃんと毎朝行ってんだな。」

「朝だけじゃないよ。夕方も見に行ってる。あたしが行かないとお水をあげる人がいなくなっちゃうからさ。」


そういって、持っていた紙袋から小さな如雨露(じょうろ)を取り出した。


「水上げたあとは、いっつも周りの雑草を抜いたり、ちょっとゆっくりしてから行くから、ここからダッシュで行かないと学校遅刻しちゃうんだよね。

だから、先行ってていいよ。

また後で、学校でね。」


そういうと、アオは夜一をその場に残して公園に入り水道のあるほうへと歩いていった。

アオと夜一の行っている高校は、家から歩いて20分程度。いつも遅めの時間に学校に行っているアオは、この公園に寄り道してから行くため、毎回、学校に着くのは遅くなってしまうのである。


「よしっ、こんなもんでいっかな。」


水を入れ終えたアオは花壇の方へと歩いていった。


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