繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜
キミに会いに行く
栞と最後に会ってから、
2ヶ月と少し。
栞の家庭で、どんな話し合いがなされたのかは、知らない。
知らないし、特に知りたいとも思わない。
離婚が成立し、家を出て、
ひとりで暮らしていると、
栞から連絡があったのは
もう夏休みも近い7月の事だった。
ひとりで暮らしてるって事は、
やはり娘の親権は、旦那に渡ったんだろう。
離婚の原因が原因だけに、それは仕方ない事なのかもしれないが。
会いたいという気持ちもあったが、通知表作成の作業に追われて、栞のところに足を運ぶ事もままならず――
――いや、通知表というのは、
言い訳かもしれない。
知らなかったとはいえ、
俺と出会ったせいで栞を離婚させてしまった罪悪感が、足を重くさせていた。
――栞はフリーになったんだ。
会いに行ってやれよ。
お前は悪くないじゃないか。
栞が結婚してるって
知らなかったんだから――
それでもなかなか会いに行けなかったのは、俺なんかのために離婚までしてしまった栞が、少し恐かったのかもしれない。