繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜



「…最低。
 殴れば?
 殴りたいんでしょう?」


冷ややかに、
冷ややかに栞は言い放つ。


その目は
怒りを通り越して、
哀れんですらいるように
俺には感じられる。



「……出掛けてくる。」

いたたまれない。

こんな場所にいられる筈無い。



ドアに手をかけた俺に、
栞は追い打ちをかける。



「逃げるんだ!?
 光基って、釣った魚には
 餌はやらない人だったんだね。
 がっかり。」




俺は
栞を無視して車に乗り込んだ。



逃げたって言われてもいい。

とにかくひとりになりたかった。


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