繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜
ホントの始まり
栞は俺の腕の中で、乱れた息を整えていた。
「俺…ホントに焦ったんだぜ。
あのメールもらって。」
「ごめん…ちょっとした悪戯の
つもりだったの…。」
「まったく…」
「あのね…
あらためて言ってもいい?」
「…え?」
「…好き…だよ…。
光基が…好き。」
「…なんか、すっげえムカつく。
ムカつくけど…
栞のこと…すっげえ好きだ。」
迫り来る闇に隠れて、
俺は栞を抱きしめた。
もう少しこうしていたかったけど、タイムリミットは近付いてくる。
待ち合わせした本屋まで、栞を送っていかなくちゃ。
「送ってくよ。
だから
今日はここまで。」
「…先生みたい。」
「先生みたいだろ。」
「先生でしょ。」
「…だな。」
くだらない事を話ながら、俺は栞の胸元をなおしてやり、車を出した。