繋がれた天使〜Siori and Mitsuki〜
アルコールがあまり得意でない栞のために、軽めのカクテルをオーダーして乾杯。
意外なことに、こういう所に来るのは今まで殆どなかったという栞。
前の彼氏なんかは連れて来てくれなかったの?と聞くと、こういう所に連れて来てくれるようなタイプの彼氏はいなかったとのこと。
俺だってそうしょっちゅう連れて来れる訳じゃないけど、今夜はちょっと頑張ってみた。
なにしろ、栞と俺が付き合える事になった記念なんだから。
……栞は…今までどんな男と
どんな恋をしてきたんだろう。
少しだけ気になったが、アルコールの酔いと、栞と二人で過ごせる夜に、
そんな事はすぐに忘れてしまった。
「栞?俺のこと好き?」
「ん?…あのね……あのね…
…知らないっ。
恥ずかしいから言わないっ。」
あのね…ってのが、絵本のくまこちゃんみたいで、俺は吹き出してしまった。
「あははっ。ホントだ。
ホントくまこちゃんみてえ。」
「もうっ!ムカつくっ!」
ほっぺたをプーッと膨らましてみせる栞が、素直に愛しいと思った。