天☆地戦争

朝になり、吹雪が止んだ。
アダムとメドゥーサは2人で毛布に包まりながら、急いで森を出た。
家の前まで辿り着くと、イヴが白い息をはきながら毛布に包まり、2人の帰りを待っていた。
『イヴｯ!!』
メドゥーサはイヴを見つけるや否や、彼女のもとに駆けつけた。
メドゥーサの元気な姿を見て、イヴは大粒の涙をこぼして泣きだした。

それをみて、メドゥーサは彼女を優しく抱きしめた。
その様子を、アダムは遠くから見守っていた。――




…その数日後、彼らの友情を引き裂く大事件が起きました。」
ディヴァイアは深いため息をこぼした。
一息ついたところで、再び口を開いた。

「メドゥーサに子供ができたのです。
はじめは、皆喜びました。メドゥーサも、アダムも、…イヴも。
しかし、いつからか、アダムは子供につきっきりになり、メドゥーサも前のようには、なかなか遊んではくれなくなりました。

イヴは独り置き去りにされた気分になっていました…。
そんなある日のこと…




――　イヴは、独り大樹にもたれ、空を見上げていた。
口からは、無意識にため息がこぼれる。

《どうしたのだ…？浮かない顔をして…》

どこからともなく、地を唸らせるような低く、エコー掛かった声が聞こえてきた。
イヴは、ハッとして、慌てて立ち上がった。
『神…様？』
辺りを見渡すが姿は見えない。
おそらく、天界から見ているのだろう。
《何かあったのじゃな…？話してみるがよい…。》
イヴはしばし俯くと、パッと顔をあげた。
『メドゥーサに子供ができたの…。アタシは、おめでたいことだと思ってたんだケド…。
アダムは、子供につきっきりで、メドゥーサも忙しくてなかなか遊んでくれなくて…。』
話してて、だんだん淋しくなってきた。
自然と顔が俯く。
『…もう、前みたいには戻れないのかな…？』
ボソリと言葉がもれる。
《確かに過ぎたことはやり戻せぬ…。だが…》
イヴの顔があがる。
『だが？』
なんだか、風が強くなっている気がした。