天☆地戦争
家に戻ると、メドゥーサが我が子に乳を与えていた。
イヴは入り口からじっとその様子を眺めた。

幸せそうに我が子に微笑むメドゥーサ。
一生懸命お乳を飲む赤子。

(この幸せは…ホントはアタシがもらうハズだったのに…。)

イヴの体の中で、ねたみ、ひがみの憎悪が渦巻く。

イヴの視線に気付いたメドゥーサが、ふと顔をあげた。
『どうしたんだい?そんな所につっ立って…。』

イヴは、ニコリと笑みをつくると、メドゥーサの方へ歩きだした。
『アダムは?』
イヴの問いに、メドゥーサが微笑む。
『うっふふ。この子にねぇ〜、栄養付けなきゃって、森に果物を取りに行ったんだよ。
おかしいねぇ?この子はまだ乳しか飲めないのに…。』
そう言って、赤子の頭を優しく撫でるメドゥーサの横顔が、とても穏やかで幸せそうに見えた。

イヴは静かに唇をかんだ。
『ねぇ、メドゥーサ。引き籠もってばっかりじゃ体に悪いよ!!
大樹まで、散歩しない?赤ちゃんも一緒に、いい空気を吸いに行こうよ!』
満面の笑みをメドゥーサに向ける。
『おやぁ〜。いい考えだねぇ。』
メドゥーサはその笑顔を疑う事無く受け入れる。
『じゃ、決まり〜♪行こう、行こう!』
いかにも楽しみと言わんばかりにメドゥーサ背中を押す。
…確かに、楽しみといえば楽しみなのだろうが…。
イヴに急かされ、メドゥーサは赤子を毛布に包み、家を出た。
メドゥーサの背後で、イヴは静かにほくそ笑んだ…。

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