天☆地戦争
近衛隊が、運搬装置を完成させると騎馬隊が馬を引きつれて装置にのった。
そして、運搬機の柱に手綱を括り付けると、片手をあげて合図を送った。
すると、運搬機はゆっくりと下降をはじめた。
同じような光景が大穴のアチコチで見られた。
バルバロッサは、その様子をじっと見据えていた。
煙管の煙と一緒に白い息を吐き出す。
「夜明けまで…後少し、か。」
そう呟くと少々赤みを帯びてきた空を見上げた。
自然と顔がゆるむ。
「なぁに、ニヤニヤ笑ってんだ?バルバ。
きっ…もち悪ぃ。」
顔を歪めながらロイが近づいてきた。
ロイの言葉には気もかけず、バルバロッサは笑みを崩さなかった。
「よぉ?坊主。テメェの可愛い馬共を降ろしといたぜ。」
ロイは大穴を覗き込んだ。
「ひゃ〜っ!深ッ!!
暗くて危ねぇから、夜が明けてから降ろそうかと思ったのによぉ。
やってくれんなぁ〜。」
ロイは遥か眼下に降りていく馬達を見送る。
「ハッ!近衛隊の腕をナメんじゃねぇよ?
夜明けなんざ待たなくても、全部降ろしてみせてやるよ。」
バルバロッサが愉快そうに煙管を吹かす。
ロイは顔をあげると、
「オレのカッワイ〜ィお馬ちゃん達に傷でも付けたらボッコボコにしてやるかンな!!」
とはき捨て、その場をあとにした。
軽く鼻で笑うと、バルバロッサは徐々に赤く染まる東の空を再び見上げた。
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