天☆地戦争
次第に赤くなる空を右手に眺めながら、ヴォルテールは自らの体を赤い鎧で覆った。
体と鎧の間に隙間をつくるまいと、紐で固く縛った。

そして、傍らに置いてあった剣をさし、軍配を手に取ると自室に別れを告げた。

彼が大穴に駆け付けた頃には、既に全軍が出揃っていた。
そして、各々に降下準備を整えていた。
周りを見渡すと、騎馬隊の姿だけ見えない。
ヴォルテールは、降下準備をしているアルマーニに話し掛けた。
「どうやら、騎馬隊は全軍無事降り着いたようじゃな。」
アルマーニは、ヴォルテールの姿に気付き、軽く会釈をした。
「はい。今は近衛隊が降下を行なっております。
もう暫らくしたら、狙撃隊の降下がはじまるでしょう。
これが終われば、全軍大穴に降り立ったことになります。」
アルマーニの丁寧な説明にヴォルテールは納得したようで、満足そうに頷いた。
「どうやら、夜明けまでには間に合うようじゃな。
さすがは三隊長じゃ。」
ヴォルテールは軍配を手で叩くと、大穴を恐る恐る覗き込んだ。
「何ともおぞましい大穴よ…。」
ヴォルテールは体を起こし、敏速な運搬作業を感心して眺めていた。
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