天☆地戦争
アルマーニは、向かい合いの席の真ん中に机を置き、その上に紙を広げた。
「アル兄、何スか?コレ?」
ロイが紙を覗き込む。
「これは、大穴の大体の見取り図です。
昨晩、ウチの隊から大穴に先見隊を送り込んでて、地形を調べてもらったのです。すると…」
アルマーニは、紙上に描かれた地図を指で示した。
「中央に大樹がそびえ、その西に下った所に真っ白い建物があります。
大樹から見て南に大きな湖ができていました。
そして、大樹から一番近い所に…北方向、ココですね。」
アルマーニは朱色の筆でバツをつけた。
「ココが我らの本陣です。」
一同が紙面を覗き込む。
「なるほど…では、各自、本陣を見失わぬよう、大樹を目印にするのじゃ。よいな?」
3隊長は頷いた。
「で?どう動く?」
バルバロッサが痺れを切らして話し掛けた。
「はい。動きとしては、まず、全軍2手に別れます。
出動順番は、近衛隊、騎馬隊、狙撃隊の順です。
そして本陣より左右に出動を開始し、挟み込むような形をとります。
そして、互いの隊がぶつかった時点で、大樹に向けて進軍します。」
ロイがしゃがみ、紙面を撫でるアルマーニの指先をじっと見つめる。
「ローラー作戦ってヤツ?良いっすねぇ♪」
ロイは嬉しそうに跳ねた。
ヴォルテールは持っていた扇を手で叩くと、目先にそびえる大樹を見上げた。
他の3人も、吊られて見上げる。
「よいか?諸君。我らの目的は、まずアダム様の無事を確認することじゃ。
たとえ、鼠一匹見つけようとも、陣営を崩すでないぞ!じゃが…」
ヴォルテールがゆっくりと振りかえる。
微かに差し込む日差しがヴォルテールの顔を不気味に照らす。
「手向かうようならば、お主らが相手せぃ。兵壁を一寸たりとも崩させるでないぞ!よいな!!」
なかなかの高齢者でありながら、ドスのきいた声が響き渡った。
3隊長は敬礼をすると、各自の持ち場に戻っていった。
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