天☆地戦争
「リタ!!」
ノアがハッとして振り返ると、そこには母の姿があった。
「あ…ごめんなさい。『ノア』だったわね。」
母は、両手を口へ持ってきて困った表情をした。
「ううん、いいのよ、ママ。ママにとってはいつまで経ってもアタシは『リタ』よ。」
その言葉を聞いて、母は優しく微笑んだ。
『リタ』というのは、ノアの名を受け継ぐ前に呼ばれていた名である。今となっては、その名を呼ぶものは母以外にいない。
「リタ、貴方に渡さなきゃいけない物があるの…。」
ノアに近づきながら母は、近着袋から瑠璃色の木箱を取り出した。そして、それをノアの手にそっと乗せ、優しく自分の手でノアの手を包んだ。
「先代ノア様が、あの日私に渡して行かれた物よ…。貴方がいつかノアの名を継いで終焉に導く時、この箱を渡してくれって頼まれていたの。」
母は、ゆっくりと手を離した。ノアは、じっとそれを見つめた。瑠璃色の木箱に、地上に咲く花の装飾が掘られていた。
「初代ノア様から受け継がれ続けた物らしいんだけど…鍵が掛かってて開かないのよ。先代のノア様も誰もこれが何なのかはわからないらしいわ。」
母は、小首を傾げて箱を覗き込んだ。
「素敵な箱…きっとお守りか何かよ。ありがとう、ママ。」
ノアは、箱をきゅっと握ると満面の笑みを母に向けた。
母は、その笑顔に急に不安を覚え、ノアを抱き締めた。
「ど…どうしたの!?ママ?」
母は、じっと押し黙って、娘を抱き締めた。
…愛しい娘ともう二度と逢えなくなるかもしれない…。
この腕の中からこの娘を離したら…。
母の胸裏にあった不安がむくむくと膨れ上がってきた。
ノアがハッとして振り返ると、そこには母の姿があった。
「あ…ごめんなさい。『ノア』だったわね。」
母は、両手を口へ持ってきて困った表情をした。
「ううん、いいのよ、ママ。ママにとってはいつまで経ってもアタシは『リタ』よ。」
その言葉を聞いて、母は優しく微笑んだ。
『リタ』というのは、ノアの名を受け継ぐ前に呼ばれていた名である。今となっては、その名を呼ぶものは母以外にいない。
「リタ、貴方に渡さなきゃいけない物があるの…。」
ノアに近づきながら母は、近着袋から瑠璃色の木箱を取り出した。そして、それをノアの手にそっと乗せ、優しく自分の手でノアの手を包んだ。
「先代ノア様が、あの日私に渡して行かれた物よ…。貴方がいつかノアの名を継いで終焉に導く時、この箱を渡してくれって頼まれていたの。」
母は、ゆっくりと手を離した。ノアは、じっとそれを見つめた。瑠璃色の木箱に、地上に咲く花の装飾が掘られていた。
「初代ノア様から受け継がれ続けた物らしいんだけど…鍵が掛かってて開かないのよ。先代のノア様も誰もこれが何なのかはわからないらしいわ。」
母は、小首を傾げて箱を覗き込んだ。
「素敵な箱…きっとお守りか何かよ。ありがとう、ママ。」
ノアは、箱をきゅっと握ると満面の笑みを母に向けた。
母は、その笑顔に急に不安を覚え、ノアを抱き締めた。
「ど…どうしたの!?ママ?」
母は、じっと押し黙って、娘を抱き締めた。
…愛しい娘ともう二度と逢えなくなるかもしれない…。
この腕の中からこの娘を離したら…。
母の胸裏にあった不安がむくむくと膨れ上がってきた。