天☆地戦争
ギルバードの報告を受け、人々は慌ただしく動きだした。騎馬隊長は、隊列を整え隊員は馬装(鞍の取り付けなど)をしていた。
軍医は仮設テントを立て医療設備を万全に整えている。
近衛隊は最も人数が多いため、まるで餌を運ぶ蟻状態になっていた。
護衛隊は持ち場につき既に準備は万全であった。
その様子を眼下にとらえ、アダムは自室を後にした。長いら旋階段を降りながらアダムは漆黒の手袋を着用した。
最後の段を踏み終えると、片手で扉を押し開いた。
扉を開けるとそこには集会場があり、軍上層部・幹部が顔を揃えていた。皆テーブルを挟み向かい合って座っていた。
アダムが席に歩み寄ると、人々は一斉にその場に立ち上がった。アダムが席の前に立つと、
「敬礼!!」
という掛け声と共に皆が一斉にアダムに敬礼姿勢をとった。アダムが席につくと皆もそれに続き着席した。席に着くなり、アダムは無意識の内に煙草を取出し口に持っていった。火を付けようとした時、右前方に座していたギルバードが咳払いをし睨み付けた。
アダムは渋々煙草を放り捨てると、足を組み背もたれにもたれた。
「諸君、わかってるとは思うが…ノアが襲撃してきている。…が…」
体を起こすと机に肘を付き、両手を絡ませ顎を乗せた。
「が…敵はそいつらダケじゃあない…。直にメドゥーサが俺等の寝首を襲いにやってくる。だが…勝つのは俺達だ。」
幹部達は固唾を飲んでアダムの話を聞いた。頬を汗がつたる。
「まず、勢力を半分してノアを迎え撃て。奴らを引き付けろ。
そして、地上軍が押されているように見せる。」
アダムは足を組み替えた。
「そうすりゃ、魔界軍が俺の首を落としにくるわな。んで・両軍が懐に入った瞬間に…」
アダムは拳を握り締めた右手を前に突き出した。そして、パッと素早く手を開いた。
「ドカン!!」
部屋に嫌な沈黙が起きた。妙に重たい空気が流れる。
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