天☆地戦争
が、黒い影が頭上を覆うと、2人の表情が一瞬にして固まった。
慌てて2人が後ろに退くと、その直後、空からアダムが舞い降りた。
「よっ♪お待たせ〜♪」
ニヤリと陽気な笑みを浮かべ、丸腰のままアダムは2人の間に立ち並んだ。
「おぃおぃ、遊びに来たわりに丸腰かよ。」
メドゥーサが片口をあげて嫌味を放つ。
「丁度良いわ…。戦う気がないならそれでもいい。ただし…」
ノアが剣を構えなおし、攻撃態勢に入る。
「綺麗に斬られてよ!!」
アダム目がけてノアが駆け出した。
アダムの陽気な笑みが次第に怪しげな笑みに変わっていった。
「いいよ〜♪直ぐに終わるから。」
メドゥーサの表情が曇る。
アダムのヤツ…えらく余裕だな…。何か…あるのか?

アダムの後ろから小さな影が駆け寄ってきた。
「カウントダーウン♪ごー!!」
勢いよくイヴがアダムの腰にしがみついた。
「さ・おいで♪」
アダムが両手を広げノアを迎えた。
アダムの奇怪な行動を不気味に思ったノアは思わず足を止めた。
「4…3…」
ゆっくりとアダムがカウントを取りはじめた。
胸騒ぎを感じたガイアも慌ててメドゥーサの方へ駆け寄っていく。
「…2…」
アダムの指がまた一つ折れた。人差し指のみ、ピンと天に向けられている。

ノアの様子が気になったゼノンは、リーナとともにノアのもとに駆け出していた。やっとのこと草原中央に辿り着くと、ゼノンはその指に気付いた。

なんだ?微かに匂うこの匂い……

……火薬!!

「ノア様!危険です!!その場を離れてっ!!」

「えっ?」
きょとんとしたノアの顔が後ろを振り返る。
その奥で、アダムがゆっくりと指を折った。口が耳まで裂けるようにあがった。
「…1…」

全員がアダムに視線を送った。
アダムの手が高々と天にかざされ、握られた拳がパッと開かれた。

「…ドカン!!」

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