天☆地戦争

アダムの顔が段々穏やかになってきたので、女は優しい笑顔でほほ笑みかえした。
「すまへんなぁ〜。ウチはメドゥーサとちゃうんよ、色男はん。ガイアって言いますえ。よろしゅう〜。」
ガイアは湖をヒラリと飛び越え、アダムの前に舞い降りた。

「ん…、ヨロシク♪ベッピンさん。俺はアダム。」
落ち着きを取り戻したアダムは、ピシッと背筋を伸ばし、丁寧にお辞儀をした。（…ただし、煙草をくわえたままだが。）

ガイアは、彼の名乗りに動じることなく、相変わらず微笑みをアダムに向けていた。
その様子にアダムが逆に当惑し、目をしばしばさせた。
「あれ？驚かないんだ…。俺はお前の敵よ？…確かね。」
アダムの言葉にガイアは微かに笑いをこぼし、笑みを絶やさなかった。
「フフッ、知ってますえ♪」
どうも調子が狂ったアダムはガイアに背を向け、来た道を戻りはじめた。
「どこ行きはるん？」
「…別に…どっか。」
背後から足音が近づいてくる。
「なぁ？ウチと一緒に行かへん？」
アダムは、驚いてﾋﾟﾀﾘと足を止めると、口から思いっきり煙を吐き出した。
「はぁ？」
ガイアがアダムの前に回り込む。
「あんさん、メドゥーサ探してはるんやろ？ウチもや!!せやから、一緒に探しにいかへん？な♪」
あまりに強引な誘いにアダムは反抗する気が失せた。
…も、いいや。断んのも面倒臭いし…

「ん…、好きにすれば？」
そしてアダムは来た道をさっさと歩きだした。
ガイアも、アダムの後を追った…。