天☆地戦争
アダムは呆気にとられていた。
暫らく無言の間があった。
が・くわえていた煙草の煙にむせ返ると、ようやく口を開いた。
「いや…いやいや。お前…メドゥーサじゃないじゃん。『ガイア』…だっけ?確かに容姿はそっくりだけどさ…」
話を遮るように、ガイアはフワリと机から下りると、一緒に備え付けてあった白い石の椅子に腰掛けた。
「立ち話もなんやから〜。座りなはれ♪」
ガイアは促すように、対で置いてあった椅子を軽く叩いた。
促されるままに、アダムは足を組んで席に着いた。

2人は暫らく、辺りの静けさに耳を澄ませた。
影が傾き、大分日が落ちた。

「『メドゥーサ』っちゅう生きものはなぁ、もともと堕落した人類の寄せ集めって言われとるんは知ってはるん?」
ガイアが口を開いた。辺りの空気にあったハンナリした口調が、心地よく感じる。
「ん…そのコトは父からよく聞かされた…。」
ガイアと目があった。ガイアが優しく微笑みかえすと、アダムは思わず目を逸らしてしまった。
顔こそ無表情だったが、体が勝手にそう反応してしまう…。
「神はんはなぁ、『メドゥーサ』ができることを予想できひんかったんよ。
せやから、完璧な形やなかった…。簡単に分離することもできるんよ?」
アダムは煙を吐いた。
「ん〜…。つまり『メドゥーサ』は自分の分身を作れるってコト?」
「そうや。それが、ウチ等ちゅうことや。」
アダムは、微かに頷きながら煙草を吹かした。
…と、急に眉をひそめた。
「ん!?いやいや…待てって。お前、ガキ・メドゥーサより年上じゃね?…ってコトはお前が長子じゃねぇの?なんで『ガイア』?」

ガイアゆっくりと顔をあげ、アダムに笑みを向けた。
その笑みは、どこか物悲しい…。
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