天☆地戦争
少年は、思わず父の手を握った。父の辛さがヒシヒシ伝わってきた。
ゆっくりと、脈に合わせて手の震えが治まってきた。再び煙管を吹かした。
すると、少年の手から父の大きな手がするりと抜け出し、今度は少年の頭を覆った。
「お前は…お前の正しいと思うことをしろよ。…決して俺みたいになるな。恨みは人の目を暗ませる…。」
ポンっと軽く頭を叩くと、父は少年に背を向け歩きだした。

少年は全身に鳥肌が立つのを感じた…。なんだ…この不安は…?
慌てて、父の後を追い掛けようとした…。が、足を踏み出そうとしたその瞬間、父は素早く掌を少年の目の前に突き出した。


少年は、ピタリと動きを止めた。その様子を見た父は、優しくも物悲しく微笑み、少年を後にした…。


少年は、茫然と立ち尽くすことしかできなかった…。父の姿が消えると、彼は再び月を見上げた…。
< 7 / 124 >

この作品をシェア

pagetop