天☆地戦争
中は以外に広かった。
大人が立てる程度の高さで、5人は入り込めるぐらいの広さはあった。
アダムは、コートを脱ぐとそれを地面に敷き、その上に腰を下ろした。
そして、途中拾い集めた草木を中央にかためると、それに火を灯した。
オレンジ色の温かい明かりが、穴蔵の中をボンヤリと照らす。
「はやぁ〜、明るいなぁ。」
後から入ってきたガイアがアダムの向かい側に腰を下ろす。
「綺麗やな〜。」
ガイアは揺れ動いて燃える炎に目を落とすと、ポツリと呟いた。
その言葉に反応してアダムは顔をあげた。
すると、炎に照らされてほのかに頬を染めたガイアの目鼻立ちの整った顔が視界に飛び込んできた。

アダムはしばらく彼女に見入った…。


おぃおぃ…何がそんなに嬉しいンだ?…んな顔して笑うなよ…。敵のくせに…。

ふと、ガイアの顔があがる。当然、アダムと目が合ってしまった。
あまりに不意を突かれたため、アダムはむせ返ってしまった。
「大丈夫なん?」
ガイアが顔を覗き込む。
左手で口を押さえながら、近づくなと言わんばかりに右手をガイアの鼻先に突き出した。

「だ…大丈夫…。」
まだ喉がムズ痒い。

気を落ち着けようと、煙草を口に持っていった。


何やってんだって、オレ。馬鹿か?


大量の煙を吐き出すと、すっと肩の力を抜いた。

そして気を逸らすために口を開いた。
「あのさ…。俺と会う前に赤毛のチビ見なかった?女の子なんだケド…。」
アダムの異様な様子に眉をひそめながら、ガイアは彼の質問に答えた。
「ウチ、最初に遇ぅたのがあんさんやぁ。せやから見てへんねん。すまへんなぁ…。」
そして、申し分けなさそうに肩を落とす。
「ん?いやいや、いいって。謝ることじゃないし。」
と、アダムが手を左右に揺らす。
「せやけど…お嬢チャン一人やったら危ないンと違うん?はよぉ捜しに行きはったほうが…」
「ん・いいの。」
ガイアがキョトンとする。しばし間があって、慌てて口を開いた。
「そんなワケにはいかへんやろ?お嬢チャンなんよ?」
「だから、いいんだって。アイツ・死なねぇし。」
アダムの表情に焦りはない。

ホンマに…大丈夫なん…?
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