天☆地戦争
アダムは、まだ眠たい体を起こし背伸びをした。
毛布にくるまったまま起き上がると、調理場に足を運んだ。

(腹減ったな…)

調理場に辿り着いたアダムは、食物を物色していると、あることに気付いた。

(今日は…やけに静かだな…。)

食べおわると、建物の中を一通り歩き回った。
『メドゥーサ〜。イヴ〜。』
一周し終わると、アダムは頭をかき、その場に立ち尽くした。
すると外からの冷たい風が入り口から吹き込んできた。

(どうやら、大分雪足が強くなってきたらしいな。)

外の様子を見に、アダムは入り口に足をむけた。

入り口に立つや否や、アダムは愕然とした。
辺り一面銀世界どころじゃない。
いや、そんな美しいものではなかった。
雪が大降りになり、視界が遮られる程荒れ狂っていた。

アダムは、足元から何かが這いずりあがってくるような感覚を覚えた。
嫌な汗が頬をつたう。
『まさか…アイツら…。』

くるまっていた毛布を放り出し、アダムは外に駆け出た。
『メドゥーサッ!!イヴ―ッ!!』
どんなに声を張り上げても、吹雪の轟音でかき消されてしまう。
駆け出そうとしたその時、小さな人影がコチラに向かって歩いてくるのが見えた。
『…イヴ!?』
アダムは、今にも倒れそうなイヴに駆け付け、体を支えた。
『大丈夫か!?しっかりしろ!!』
アダムの声に、イヴはホッとしたように微笑んだ。
『ア…ダム…?よかった…。』
イヴの無事を確認すると、一先ず安堵の表情を浮かべた。
しかし、再び表情は険しくなった。
『イヴ、メドゥーサはどうした!?』
その言葉に反応して、イヴの瞳が大きく見開かれた。
『メドゥーサ…いないの!!…どこにも…はぐれちゃって…。』
イヴの瞳から涙がポロポロとこぼれ落ちる。
『ゴメンなさい…。アタシが…花を捜しに行こうなんて…言っちゃったから…。』
アダムの顔が凍り付く。恐怖で体がさらに冷たく感じる。
『お願いアダム!!メドゥーサを捜して!!』
イヴは、アダムの服を必死に握り締めた。
『あぁ…。もちろんだよ!!必ず助ける!!』
そう言うと、急いでイヴを部屋のベッドに寝かし、防寒着を着込み外に飛び出していった。
吹雪が止む気配は、まだない…。
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