天☆地戦争
メドゥーサは、大雪が降りしきる中、一人洞窟で縮こまっていた。
寒さで震える体を必死に抱えながら、ただ一点を見つめていた。
寒さと同時に眠気が襲いはじめ、段々と視界が霞んできた。


(ダメ…。ここで寝てしまったら…皆に逢えなくなってしまう…。)


眠りでフラフラする体を必死に支えた。
しかし、とうとうその力すらもなくなり、メドゥーサは地面に倒れこんでしまった。

(こんな所で死にたくない…。こんな…だぁれもいない所で…。)
メドゥーサは、わずかに笑みをこぼした。
『独りぼっちは…恐いねぇ…。』
言い終えると、途端に視界が暗くなり、意識が遠退きはじめた。

『……』

(…?…遠くで…何か聞こえたような…。でもダメだ。体を起こす気力がないから、確認すらできないよ…)

『…サ……メ…サ…』

(…!…この…声は…!?…)


『メドゥーサ!!』

吹雪を押し退けて、洞窟に飛び込んできたのはアダムであった。
飛び込むや否や、アダムはメドゥーサを抱きかかえ、力強く抱き締めた。
アダムの温もりが、伝わってくる。
『しっかりしろ!メドゥーサ!!』
アダムは、すぐに持ってきた毛布でメドゥーサの体と自分の体を一緒に包み、暖をとった。
すると、メドゥーサの指がわずかに動き、ゆっくと瞳が開いた。
『ア…ダム…かえ?来て…くれたん…だねぇ…?』
アダムは安堵の表情を浮かべると、今度は優しくメドゥーサを抱き締めた。
『当然だろ?約束…したじゃねぇか。
独りにしねぇって…。』
メドゥーサの瞳から無意識に暖かい涙があふれ出てきた。
メドゥーサの細い腕がアダムの背中をそっと抱き締める。
顔をあげると、眉をたらして、優しく微笑むアダムの顔が視界に入ってきた。
安心感で胸が熱くなり、涙が止まらない。
そんなメドゥーサを見て、アダムも胸が焦がれた。
そして、そっと涙を手で拭うと、メドゥーサの赤い唇に静かに唇を重ねた…。
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