天☆地戦争
『一体なんでこんな吹雪の中、外に出歩いたんだよ。』
アダムは、まだひんやりするメドゥーサの体をさすりながら話し掛けた。
メドゥーサは体をアダムに預けたまま静かに瞳を閉じていた。
しかし、アダムの問いを聞くと、何やら懐で動きだした。
動きが止まったかと思うと、腕の中からきらりと光る物体が飛び出した。
『な…花…?…。』
メドゥーサが取り出したのは、青白く輝く一輪の花だった。
『そう。コレを取りに行ってたんだよぉ。綺麗だろう?』
花を受け取り、マジマジと見つめた。
『確かに綺麗だケド…お前、死にかけたんだぞ?そこまでして取る必要がどこにある?』
半ば怒りながら、アダムが言い放つ。
そう言われ、メドゥーサは珍しく小さくなった。
『…アンタをね…。喜ばせたかったんだよ。アンタにとって些細なことかもしれないケド…アタシにとっては、大きいコトなのさ…。
アンタはアタシの、人生を変えた人だから…。』
メドゥーサはますます体を小さくし、顔を隠した。
耳が赤くなっているのが見て取れる。
何だか愛しくて、胸が苦しくなった。
『…だから、イヴを叱らないでやっておくれ。あの子は、悪くないんだよ。ただアタシを喜ばせようと…』
メドゥーサの言葉は、言いおわる前に、アダムの唇に遮られてしまった。
ゆっくりと、顔を離すとメドゥーサの顔が微かに赤らんでいた。
二人は目があうと、再び接吻を交わし、ゆっくりと体を倒した。

そして、洞窟の壁に映った二つの影は、一つのシルエットを描いて岩壁に浮かび上がった…。
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