君色
お父さんが運転する車で、南高校に向かった。



「じゃあ、入学式が終わったら駐車場に来なさいね」



「はぁい」



クラスはすでに確認してあるから、わざわざ人混みの中に入って掲示板を見に行く必要はなかった。



あたしが向かった場所は教室ではなく、体育館裏側にある桜の樹の所だった。




ここの学校の桜の樹は毎年綺麗だって、よく聞くから……。



入学したら、真っ先に見に行こうって決めてたんだ……。




「うわぁ〜綺麗っ」



間近で見た桜の樹は、大きくてゴツゴツしていて綺麗な花を咲かせていた。




時折、舞い散る花びらにあたしは釘付けになる。




「綺麗……」



どのくらい桜の樹を見ていただろう。




「桜、好きなの?」



「………え?」




振り向くと、背の高い(180はあるだろう)一人の男の子が立っていた。




どきっ……




新品の制服を着ているからにして、あたしと同い年の人なのかな?



「あ……うん。桜は好きだよ。」




「綺麗だもんな」




その男の子はあたしと同じ位置まで近づいてきて、同じように桜を眺めていた。




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