たらた、ら。
声の方向に目を向けると、
そこには長身でショートカットの
すっごい美人さんが、腕組みをして立っていた。
「おー彩ー、今行くー。」
そう答える目の前の先輩に、
私は思わず「へ」なんて
間抜けな声を出してしまった。
「…なんだよ。」
「せ、先輩あの方は……」
「は?」
「まさかか、かかか、かの…」
『彼女さんですか』
そう言おうとしたその時、
また先ほどの女の人の声がした。
「あれー後輩ちゃん?邪魔した?」
とてとてと歩いてくるその人は、
近くで見るとますますキレイで。
女の私さえも思わず見とれてしまった。
知らなかった、先輩の近く…
こんなキレイな人がいたんだ……っ!?
「別に邪魔とかしてねーよ」
先輩が答えると、女の人は「高野もモテんだねー」なんて笑っていた。
…笑うと可愛い。何だこの人はっ!!
「ねぇ、君名前は?」
そう聞かれ、少し緊張気味に名乗る。
「たっ…橘葵ですっ」
「葵ちゃんねー。あたし大沢彩音。よろしくね!」
そう言って差し出された手は大きくて温かくて
たったの1つしか歳は変わらないハズなのに
とてもとても、大人に見えた。