たらた、ら。
弥生に少し失礼なことを思いながらも、
時は過ぎ去り掃除の時間。
一刻も早く先輩の元へと行きたい私は、
通常ではありえない程の手早さで
掃除をパパッと終わらせ、
まず弥生の元へ向かった。
弥生の掃除場所の音楽室へ行くと、
弥生もちょうど今掃除が終わったらしく、
「おー、来たかー」
などと言っている。
「何言ってんだか。よし、行くぞ!」
「はいはい。早く愛しの先輩に会いたいもんね。」
弥生の半ば呆れたような口ぶりに、
何だか急に羞恥心が湧き上がってきた。
…何か自分、恥ずかしいな。
ちょっぴり長い美術室への道のり。
私の心は躍ってる。
「おい葵気持ち悪いぞ。」
などと弥生に言われるのは何回目だろう。
わかんないよ、数えてないしね。
とか思いつつやっぱり足取りは軽くなる。
「…あ!せんぱーい!」
視界に愛しい人の姿を確認し、
手を振り駆け寄ると、いつものように嫌そうな顔。
「また来たのかよ」
「へへっ」
「おまえも暇人だな。」
そう言って先輩は私の頭をペシンと軽く叩く。
「…………!」
思わずニヤける私。
それを酷く驚いた様子で見る先輩。
…ああ私、どんどん気持ち悪くなっていく。