spring snow
そのとき『カラン』と音を立てて、ドアが開く。
創志は後ろを振り返る。
すると先ほどの女の子が出てきた。
女の子は誰かの腕を握っているみたいだった。
女の子は俺を見つけて、誰かに創志を指差す。
女の子の後から出てきたのは皺をしっかり伸ばしたシャツに、黒のベストとスラックスをきっちり着込んだ女顔をした男だった。
女の子は創志を指差して、男を見る。
そして男は女の子に一礼をして、創志の方へ歩いてくる。
「大変お待たせして申し訳ありません。
なにか御用がおありでしょうか?
僭越ながら、私が代わりにお聞きさせていただきます。」
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