spring snow
すると淡雪は左手の甲を上に向け、右手の親指を上にして縦にしてゆっくりと前に向けて手の甲の上を滑らせた。
「ん?」
創志は淡雪の動きを呆然と見た。
(なに言ってんのか分からん……。)
「お待たせいたしました。」
その時小さな手帳とサインペンを持った圭が戻ってきた。
「ちょうど良かった!これに書いてくれ。」
創志は圭の持っていた手帳とペンをひったくるように淡雪の前に手帳を差し出して書くようにジェスチャーをした。
淡雪は手帳を受け取り、手帳を開いて書く。
『ゆっくり口を動かせばわかります』
「ゆっくり?ゆっくりで良いのか?」
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