spring snow
創志は手に持った携帯電話を押し始めた。
「いえ…、よろしいんですよ。警察に来られたらお嬢様や水岸にご迷惑がかかってしまいますので…。
それに創志様にも…。」
圭は電話をかける創志の手を止め申しわけなさそうに笑う。
「俺にどう迷惑かけてんだ?
俺が勝手に口を挟んだだけだろ?」
「創志様。あなたは俳優なんですよ?」
「……。」
創志は少し考えた後、不安そうに見つめる淡雪のところへ歩いてきた。
「久しぶりだな。元気にしてたか?」
淡雪の目の前で創志は四指を立て、向かい合わせてくっつけた手の甲を離す。
そして拳を作り、手の甲を上に向けて下に力強く二回下げた。
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