spring snow
 「それって…?」
 私は驚きを隠せず、父さんを見ました。
 「圭…、お前には今から手話を覚えてもらう。
お前を仕えさせるのは、お嬢様の望みでもあるのだ…。」
 「お嬢様がどうして私を希望されたのですか…?」
 「それは、いずれ解る…。」
 父さんは悲しそうに笑っていたのです。
 「……?」
 それが私とお嬢様の初めての出逢いでした。
なぜお嬢様が私を望まれたのか、今でも分かりません。
ですが、きっと理由があると信じ、私はお嬢様の執事となることになりました。
 あれから長い年月が過ぎ、お嬢様は17歳になられました。
 このお話は、ある方がお嬢様と出逢った頃からのお話でございます。
< 7 / 51 >

この作品をシェア

pagetop