彼女のスイッチ。
スイッチ1〜彼女の性質〜
終わった
あたしの人生終わった…。
うら若き乙女、もとい
黒髪ふんわりストレートで
黒目がちの奥二重の瞳の
成績は中の下
そんなあたし、
三原紗耶の人生終わった。
理由は簡単。
ついさきほど、あたしは1年のときから憧れ続けていた同じ部活の先輩に告白したところ、みごとに振られたのだ。
こんなことで人生終わっただなんて自分でもあほらしいと思うが、それほどショックが大きかったらしい。
あたしの大ばかやろう。
告白なんて浮かれすぎたんだ。
なんだか自分が酷く惨めに思えてきた。
「こんなところで何してるの、紗耶ちゃん」
やわらかい力のぬけたふざけたような声。
そんな声が聞こえてきて、あたしは声のする方へ目をやった。
「ゆ、雪城先輩!」
そこにいたのは同じ部活の雪城祐先輩だった。
雪城先輩はいわゆるイケメンというやつで、学校で彼の名を知らない生徒はいないほど。
確かに、容姿端麗で全体的に色素が薄く、儚い美しさをかもしだし、甘いマスクを持つ雪城先輩は否のつけようがない。
しかし大きな欠陥が1つ。彼は超がつくほどの遊び人なのだ。
しかもくるもの拒まず、さるもの追わず…。
「ん?俺の顔、なんかついてる…?」