彼女のスイッチ。
「あ、い、いや、何も…」
どうやらあたしは無意識のうちに、雪城先輩の顔を見つめていたらしい。
(恥ずかし…)
「えー、ホントに?」
そう言うと雪城先輩があたしにずいっと顔を近づける。
す、ススストォォッープ!!
なんだか近くないですか?なんだか息が掛かってないですか?
なんだかあたしの顔熱くないですか?!
「ははっ、冗談だよ。紗耶ちゃんがなんでここにいるかも知ってるしね」
ふっ、と笑みを浮かべて雪城先輩があたしから離れる。
……なんて質の悪い冗談だ。
あたしはそう思いながら心拍数の上がった胸を撫で下ろした。
(………ん?)
「先輩見てたんですか?!」
さっきの雪城先輩の口振り……まるで全てを見ていたような……
「見てたよ。紗耶ちゃんの告白も、振られたときの泣き出しそうな顔も」
見られていた。
雪城先輩に…
「あの表情にはそそられたよ」