探偵バトラー ~英国紳士と執事~
【其の壱】紳士、登場す
その紳士、英国産につき
その紳士が御剣家にやってきたのは、夏の強い日差しが照りつける立秋の日だった。
暦の上では秋だというのに、太陽は我が物顔で空に居座り、燦燦と自らの威光を誇示している。
北半球の地上の民は、そんな太陽に半ばうんざりしながらも、この暑い季節をそれなりに謳歌していた。
高級車のフロントガラス越しに見るアスファルトからは湯気が立ち上っていたが、空調の効いた車内では、外の暑さなど感じない。
ただ、太陽から降り注ぐ光だけが、ハンドルを握るオレの腕をちりちりと攻撃していた。
「陣。空港までは後どのくらいかかる?」
凛とした声に名前を呼ばれ、ミラー越しに声の主の姿を見る。
顎のラインで切り揃えた黒髪に、きゅっと引き結んだ口元。
一見大人しそうな少女の姿をしているが、意志の強そうな黒い瞳は、覇気と精彩を纏っている。
暦の上では秋だというのに、太陽は我が物顔で空に居座り、燦燦と自らの威光を誇示している。
北半球の地上の民は、そんな太陽に半ばうんざりしながらも、この暑い季節をそれなりに謳歌していた。
高級車のフロントガラス越しに見るアスファルトからは湯気が立ち上っていたが、空調の効いた車内では、外の暑さなど感じない。
ただ、太陽から降り注ぐ光だけが、ハンドルを握るオレの腕をちりちりと攻撃していた。
「陣。空港までは後どのくらいかかる?」
凛とした声に名前を呼ばれ、ミラー越しに声の主の姿を見る。
顎のラインで切り揃えた黒髪に、きゅっと引き結んだ口元。
一見大人しそうな少女の姿をしているが、意志の強そうな黒い瞳は、覇気と精彩を纏っている。