探偵バトラー ~英国紳士と執事~
 しかし、そんなオレの謙虚でいじらしい努力を笑い飛ばすかのようにとんでもない事を言い出した。

「そんなに畏まらなくてもいいよ。もっと気楽に、ラフでいい。そのほうが私も気が楽だ。キミには手伝って欲しいこともあるしね」

 気楽に、と言われてもこの内心のツッコミを抑えきれる自信がないから逆に困る。それに、後半の言葉。

 とんでもなく嫌な予感がする。本能が全力で断れと言っているが、状況がそれを許してくれる可能性は限りなく低い。

 内容を聞いちゃダメだ。知らぬ存ぜぬで通せ。話題を変

「む。陣に手伝って欲しい事とは一体?」


 ……絵理ぃぃぃぃい!


 うん、お前はこういう女だよ。危機に自ら飛び込み切り伏せて、地雷源には踏み込み踏み割る。

 勇猛果敢にしてド天然、時代錯誤の戦国姫。

 戦国姫の素朴な問いに、変態紳士が答えて曰く。

「実は、伝説の魔除けのこけしを探す手伝いを、是非君に頼みたいのだ。勿論、協力してくれるね?」



 なにそれこわい。
< 21 / 32 >

この作品をシェア

pagetop