smile~君がいた夏~
「はいっ?!」
誰かに名前を呼ばれ、反射的に返事をしてしまった。
「ケガの方、大丈夫ですか?ぼーっとしてたみたいだけど」
声がしたほうに顔を向けると、四十代半ばくらいの看護師さんが立っていた。
「はいっ。大丈夫です・・・」
「なら良かった。それとね、今日から一般の病室に移ってもらいたいんだけど・・・」
そこまで言うと、看護師さんは口ごもってしまった。
意識が戻ったのだからそれは当然のことなんだろうけど・・・
何かあるのか?
「今、病室に空きがなくてね・・・相部屋でも大丈夫かなっ?
一応涼くんのお母さんと相部屋の方には了承を得てるんだけど。
やっぱり本人に確認しとかないとねっ・・・」
そこまで言うと看護師さんは申し訳なさそうな顔をした。
なんだ、そんなことか・・・
検査で悪いところでも見つかったのかとあせったし。
「俺は構いませんよ」
少し微笑んでみせた。