smile~君がいた夏~
それからは時間が経つのも忘れて、お互いのことを話していた。
俺は高校球児で、甲子園を目指していること。
練習の帰りに事故に遭ってしまったこと。
病室でレギュラー入りが決まったという監督の伝言を、
母さんから聞いたときのこと。
そして父さんのことも話した。
なぜだか、葵には初対面だということも忘れて喋ってしまう。
葵の優しい雰囲気がそうさせているのかも。
俺の話を葵は真剣に聞いてくれた。
「なんかごめんな。俺ばっか喋っちゃって・・・」
「いいんだ。僕、ずっとこの病室で一人だったから・・・
涼が来てくれて本当に嬉しいんだよ?」
「ずっと一人・・・なのか?」
俺は気になったので素直に聞いてみることにした。