smile~君がいた夏~
「涼、帰ろうぜ。」
「おう。」
幼馴染であり、同じ野球部員でもある十弥(トウヤ)が駆け寄ってきた。
帰る方向が一緒なのは十弥しかいないため、
俺たちは練習が終わるといつも2人で帰っていた。
俺たちの帰り道は街灯が少なく、自転車のライトだけでは夜はかなり暗い。
まあ、最近は大きな大会前で練習が遅くまであるから仕方ないんだけど。
「あー、今日も疲れたなぁ。最近の練習は特にきついよ。」
と十弥がため息混じりに言った。
「大会近いからなー」
「そういえば明日が仮レギュラーメンバーの発表だよなっ」
仮といえども、このレギュラーメンバーに選ばれればほとんどが試合に出れる。
ただ俺たちの学校は部員数が多いため、レギュラー争いが激しい。