スケベの季節
劉備の言葉には十分に親しみが込められていたが、その内容がベアトリクスに強烈な衝撃を与えた。
「アーッ!タイムスリップしてしまったー!でも、登校時間まで1825年くらい余裕ができたかなぁー・・・って、どうすりゃいいんだー!」
頭を抱えてうずくまったベアトリクスを見て男たちは、
「ハハハ、おっちょこちょいな女だなぁ!」「あわてん坊さんだ」「ドジっ子、ドジっ子」
と笑った。
「くっそー、失敗したなぁ!184年の中国って、どんななのさ!?」
「おいらが教えてやるよ」
張飛は酒をぐいっと飲むと、直前に仕入れた知識を披露しようとしたが、
「おいらたちが夢見た桃源郷、オトコ帝国が、いまや十常侍ってティンカーベルレスどもにあれやこれやと、住民叛乱が起こって、黄色い被った・・・アレ?」
と、途中から自分自身分からなくなった。
「つまり、男の子たちの危機なわけよ。で、俺たち三人はホモで、今日は義兄弟の契りを結んでたってわけ。俺は長兄の劉備、よろぴくね」
続いて、関羽と張飛も自己紹介をした。
「私は未来から来た女子高生の米森ベアトリクスです、よろぴく。じゃあアナタが、あの有名な劉備なのね」
「えっ、俺って有名人になるの?」
ベアトリクスは、SFではご法度の、過去の人に未来の情報を教えるという暴挙をなんの躊躇いもなく犯した。



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