年下ダーリン
「な……ッ」







「りん……」








翔の顔が見えない。見えないまま、私の名前を呼ぶ翔の声に返事をした。








腕に力がこもった。小学生なのに、私より力がある。







男勝りな私より…力があった。









「りんのこと、誰よりも愛してるから…」








「ずっと…」









身体が熱い。冷たい風に負けないくらい、身体がほてっている。







でも、心地いい。嬉しい。ただ…それだけで、こんなに幸せ…。







「ありがとう…」








初めて言えた『ありがとう』





翔の気持ちを初めて素直に受け止めた証拠の『ありがとう』








寒さも寂しさも何もかも関係ない。






今あるこの幸せだけを、





今……感じていたいから。
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