年下ダーリン
周りにあるのは本ばかり。それもマンガではなく、難しいタイトルで、手に取るのを億劫にさせるものばかりだった。




医学のススメ


人間の身体…





…ん?翔ってもしや医者になりたい……とか?



「翔は…将来医者になりたいの?」




私は目を大きく見開いて尋ねた。そういえば、翔はこう見えて(どう見えてだ)頭がいい。そしてこの豪邸…。医者を目指すにはいい環境にあって、いい頭も持っている。




この次の翔の反応は想像できていた。
目をキラキラさせながら、将来について話すんだろう。なんせまだそういうところは"小学生"だから。







しかし…振り向いた先にある翔の顔は、凍りついたように……少しでも触れたら壊れてしまいそうな、悲しく冷たい表情をしていた。
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