年下ダーリン
「翔…?」







私の呼び掛けに翔はハッとして、こちらを見た。




「あっ…医者ねー。確かになりたいかな、てちょっと思ってた時期あって」



頭をかきながら笑う。




でもその笑顔がどうにも心から、のものに思えないのはなぜだろう。




「あ、お菓子なくなったね!持ってくるよう言ってくるわ」




翔はそう言い残して、部屋を出た。

静かな部屋に私だけ。



静かなはずなのに、ざわざわした感覚…




なに……?


翔は何も言わなかった。
本当に医者になりたいんだな、そう思えば済むのに…どうしてざわついたりするんだろう……




私はもう一度周りを見渡した。
たくさんの医学書が、私を冷たく見下していた。
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