年下ダーリン
教室に帰ったあと、数学の教科書と一緒に手紙を開いた。
私のではなく、
封切られたエアメール。
万年筆で書かれたであろう字に、
ちょっとだけ笑ってしまった。



出だしはフツーで、
友達ができて、英語がすごくしゃべれる、だの、
成績は学校の中でも上のほう、だの、
自慢話から始まって、
退屈な毎日の中に新しく始めた料理の趣味についてつらつらと書かれていた。
出来栄えを見た父は、
「店を継げ！」と毎日うるさいのだという。

そんな他愛もない内容を読み進めていくと、最後に謎めいた一文が少し本文と離れたところに書いてあった。




「足音が聞こえますか？」




なんとことやら、眠かったのかなーと思いつつ、
放っておいた。
が、改めてもう一度読み直すと、なんだか変な違和感がある。
意味もなく何かする子ではないことを知っていたから。

そう思ってジーッと見ていると、



「りん」





懐かしい声に呼ばれた気がした。
ハッと窓の外を見ても、もちろん誰もいない。
金髪で、
蒼眼で、
甘えん坊でたまにS。

そんな君の顔と声が聞こえた気がしてハッとした。
なんだかわかった気がした。



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