年下ダーリン
少しの沈黙のあと、依子はポツリポツリと話し始めた。








「先週から…、翼くんと…、些細なコトでケンカしてて……」







「うん」







「昨日やっと連絡があって……ッ、別れようって……ッ」








また思い出して涙ぐむ依子。ダメだ、と思ったのか、タオルでこするように涙を拭いていた。先週……、そういえば二人、一緒に帰ってなかったし、話してもなかった気がする。









私、なんで気付かなかったんだろ……。













そう思ったのと同時に、あ、別のコトで頭がいっぱいだったからだ、そう気づいた。







そんな自分が情けなくて、依子に申し訳なくて、肩を揺らす大事な友達の背中をゆっくりゆっくり撫でてやった。そうすると、依子はせきをきったように、また大粒の涙を流し始めた。







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