年下ダーリン
「てか、なんでケンカなんて……」







泣きやんで目が赤くなっている依子に、目薬を貸しながら尋ねる。受け取った依子は、すぐにはささず、目薬を持ったまま今度は少し前を向いて言った。







「先週、デートしたトキにね…、映画観て…、そのあと一緒にご飯食べてたの」







「う??うん……」





「ご飯食べながら、映画の話をしてて、そしたら隣にいた子供が転んじゃって、翼くんが起こしてあげてたの」








あ~、翼がしそうなこと。たぶん、そのあと、あのキラキラの眩しい笑顔で笑うんだな。そう思うと、フッと昔の翼の笑顔が頭をよぎった。





「その子のお母さんとお父さんが頭下げてくれて…、すっごく幸せそうな家族だったから、私が『あんな家族になりたいね』てそう言ったらさ……」







「うん??」









「ちょっと顔をしかめて、『うん…』て言われたから、私ッ、カッときちゃって……」







つい、別れるとか、嫌いッとか言ったんだな……。








「『それならもう、りんと付き合っちゃえッ』て言っちゃったの…」










「…………は!!!!????」
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