虹が見たい理由
あの後、私は救護室に運ばれて手首に包帯をして貰って帰ってきた。
不思議な感じだった。
さっきまで死ぬと思っていたのに、私はまたこうして誰かと話している。
「…妹がね、死んじゃったの。」
私は溜め息と共に吐き出した。
家が上手くいってない事。
目が覚めない妹が、今日の夕方にサッとあの世に逝ってしまったこと。
なんだか疲れたこと。
「…死んでも、楽しい事はないけど、苦しい事もない。」
涙が止まらなかった。
時々つっかえながら、話した。
話し終わった後、誰も何も言わなかった。